アスベストに関する基礎知識(アスベストQ&A)

アスベストとは何ですか?

アスベストとは、石綿(せきめん、いしわた)とも呼ばれる天然の非常に細い繊維状の鉱物(太さ:髪の毛の1/5000程度)です。代表的なものは、白石綿(クリソライト)・青石綿(クロシドライト)・茶石綿(アモサイト)の3種類です。
アスベストは、熱、摩擦、酸やアルカリに強く、丈夫で変化しにくいという特性を持ち、安価な工業材料であるために、建築資材、電気製品、自動車、家庭用品などに盛んに使われていました。
アスベストは、そこにあること自体がただちに問題なのではなく、大気中に飛び散ること、吸い込むことが問題となります。

アスベストにはどんな危険性があるのですか?

アスベストの繊維は、目に見えないくらい細く、軽いため飛散しやすい特性があります。そのため、アスベストが空気中に浮遊した状態にあると、呼吸とともに吸い込んでしまうことになります。
さらに、アスベスト繊維は丈夫で変化しにくいため、吸い込んで肺の中に入ると、肺の組織に刺さったままとなり、長い潜伏期間を経て、肺がんや中皮腫、アスベスト肺などの病気を発症する恐れがあります。

アスベストに関して、どのような規制が行われてきたのですか?

アスベストの使用は、段階的に禁止されてきました。

昭和50年 含有率5%を超えるアスベストの吹き付け作業の原則禁止
昭和55年 石綿含有吹付ロックウールの使用終了
昭和62年 建築物耐火構造規定から吹付石綿を除外
平成7年 特に毒性の強い青石綿・茶石綿の製造・輸入・使用の全面禁止
含有率1%を超えるアスベストの吹き付け作業の禁止(ただし、保護具着用などの条件つきで可能)
平成16年 白石綿を含む建材などの製造・輸入・使用の原則禁止
含有率1%を超える主な建材、摩擦材及び接着剤の製造等を禁止
平成17年 含有率1%を超えるアスベストの吹き付け作業の全面禁止
平成18年 含有率0.1%を超えるすべての物の輸入・製造・使用等を禁止
平成24年 含有率0.1%を超えるすべての物の輸入・製造・使用等を全面禁止
平成30年 石綿分析用試料等については解除
令和4年 解体等工事に係る調査の結果等の報告を義務化

アスベストは建築物でどのように使用されているのですか?

アスベストは、安価で、耐火性、断熱性、防音性など多様な機能を持つため、耐火、断熱、防音目的で建築材料として、建築物や工作物に使用されてきました。
使用形態は、以下のように大別されます。

吹き付けアスベスト(詳細をクリック)

建築物等の鉄骨材などの耐火被覆、機械室(ボイラー室)、空調機械室などの吸音、断熱材として使用されています。

  1. 吹き付けアスベスト
    アスベストとセメントとを一定割合で水を加えて混合し、吹き付け施工したもの
    • ア.耐火被覆用
      使用場所は、鉄骨造建築物のはり・柱などで使用期間は、昭和38年頃から50年初頭までです。
    • イ.吸音・断熱用
      使用場所は、ビルの機械室・ボイラー室・地下駐車場・学校・体育館・工場などの天井・壁などで,使用期間は昭和31年頃から50年初頭までです。
  2. 吹き付けロックウール
    吹き付けアスベストとよく似た建材に吹き付けロックウールがあります。昭和50年に吹き付けアスベストが原則禁止となって以降は、吹き付けロックウールに切り替わっていましたが、しばらくの間は、アスベストを混ぜて使用していました。用途は、吹き付けアスベストと同様に、耐火被覆用と吸音、断熱用であり、使用場所も同じです。
    • ア.耐火被覆用
      吹き付けロックウールにアスベストを混ぜて使用された期間は、昭和43年頃から昭和55年頃までです。(湿式工法は昭和63年頃まで使用。)
    • イ.吸音、断熱用
      吹き付けロックウールにアスベストを混ぜて使用された期間は、昭和46年頃から昭和55年頃までです。(湿式工法は昭和63年頃まで使用。)
アスベスト保温材(詳細をクリック)
  1. アスベストを含有する保温材

    石油精製や石油化学などの施設に使われることがほとんどで,建築物では、ボイラーなど建築設備や空調設備のダクトなどの継目部分に使われている場合が多くみられ,施行部分に応じて,板状・筒状・ひも状・ふとん状・水練りなどの種類があります。

  2. 耐火被覆板

    吹付けアスベストと同様に鉄骨材等の耐火性能を確保するために用いられています。

アスベスト成形板(詳細をクリック)
アスベスト成形板には、平板又は波板状のものがあり,防火性、耐水性等に優れた性能を持つため、建物の外壁・屋根などに広く使用されています。
さらに、化粧を施したものや、軽量化したものなど、多くの石綿スレート関連製品があります。代表的なものとして,石綿スレート,化粧石綿セメント板,石綿セメントサイディングなどがあります。

*室内で注意が必要なのは、壁や天井に吹き付けられたアスベストです。吹き付けアスベストは、解体時や経年劣化により飛散しやすくなるためです。
石綿スレートなどは、通常の状態では飛散の恐れは低いと考えられます。 ただし、住宅補修時や解体時には注意が必要です。

一般の住宅でもアスベストは使われていますか?

店舗併用住宅、共同住宅などで鉄骨、鉄筋造の住宅では鉄骨部分の耐火被覆、 屋根裏などの断熱被覆、防音被覆などのためにアスベストが吹き付けられていることがあります。その部分に、はがれ、毛羽立ち、垂れ下がり、繊維崩れ、損傷や 欠損などの状態が見られる場合には、飛散の可能性があるので、注意が必要です。
しかし、アスベストが使われなくなったのは平成18年9月頃のことで、ごく最近に建てられた 鉄骨造の吹き付け材についてはアスベストの混入の恐れが少ない建物なので、問題はないと思われます。
木造の戸建て住宅の場合には、吹き付けアスベストが使われている可能性はほとんど ありません。しかし、床、壁、天井、屋根などにアスベスト成形板が使われている 可能性はあります。 ただし、アスベスト成形板は、製品として出荷されおり、解体や穴あけ等の加工、切断したり、 あるいは表面が劣化していない限り、大気中に飛散する可能性は低いと考えられます。

どこにアスベストが使用されているか調べることはできますか?

まず、建築時の設計図書(施工図、仕様書、材料表など)で調べてみてください。ただし、「石綿」という表示がなくてもアスベストを含む材料が使われていることもありますので注意してください。設計図書がない場合は、建築に携わった設計者や工事施工業者などに問い合わせてみてください。
アスベストを含む建材の商品名などについての情報は、(社)日本石綿協会などの専門機関に問い合わせることもできますが、仕様書には必ずしも商品名が記載されているとは限りません。確実にアスベストが含まれているかどうかを判断するには、専門の検査機関で分析してもらうことが最も適切です。
建材中の石綿の分析機関および分析技術者については、「(公社)日本作業環境測定協会」、「(一社)日本環境測定分析協会」及び「(一社)日本繊維状物質研究協会」の各ホームページをご覧ください。

<建築物石綿含有建材調査者>
建築物石綿含有建材調査者とは、アスベストに関する知識があるだけでなく、建築物の調査の実務に精通しているアスベスト調査の専門家です。各調査の結果をもとに解析を行い、判断者としての役割を担います。建築物石綿含有建材調査者の一覧は(一財)日本環境衛生センターのホームページをご覧ください。

解体等工事に係るアスベストの事前調査と発注者への説明について

1. 事前調査

事前調査とは、建築物等の解体等工事を行う前に、当該建築物等に石綿含有建材が使⽤されているか否かを調査することをいいます。また、解体等を行う工事業者は、事前調査に関する記録を作成し、解体等工事が終了した日から3年間保存しなければなりません。

<事前調査の対象>
対象は、解体・改修作業を行う「建築物」及び「工作物」です。
「建築物」とは、全ての建築物をいい、建築物に設けるガス若しくは電気の供給、給水、排水、換気、暖房、冷房、排煙又は汚水処理の設備等の建築設備を含むものをいいます。

<結果報告の対象>
【重要】令和4年4月1日から、事前調査結果の報告が義務化されました。
石綿使用の有無に関する調査結果の報告が必要な解体等工事の対象について、京都市のホームページをご覧ください。

2. 発注者への説明

体等工事の元請業者は、発注者に対して書面により事前調査の結果等を説明することが義務づけられています。また、当該説明は、解体等工事の開始の日までに行うこととされています。説明事項等の詳細については、京都市のホームページをご覧ください。

<ご注意ください!>
令和5年10月からは建築物の解体における事前調査を行う者についての資格要件が定められます。詳細については厚生労働省のホームぺージをご覧ください。

3. 工事現場の掲示

ご自宅を含め、建築物の解体・改修工事を行う場合には、工事の発注者となる建物オーナーのみなさまにおかれても法令に定められた事項を行う必要があります。
解体・改修工事が行われている建築物に石綿(アスベスト)が含まれているかどうか、石綿(アスベスト)が含まれている場合の対策について、工事現場に掲示する必要があります。詳細については厚生労働省のホームぺージをご覧ください。

4. その他、アスベスト対策の助成について

建築物のアスベスト対策(アスベスト含有調査、除却等)の助成について、詳細は京都市のホームページをご覧ください。
京都市吹付けアスベスト除去等助成事業